犬の個体識別のためのマイクロチップ

先日、区役所に用があって出かけた時、飼い犬や飼い猫に施すマイクロチップの助成がある、というチラシを見つけました。

ウチには8歳の柴犬の男の子がいて、ちょうど数日後に動物病院へ行く予定があったので早速チラシを持って帰り、詳しく調べることにしました。


マイクロチップってそもそも何のために?


ペットが脱走したり、事故に遭ったり、災害時に飼い主とはぐれたりしたときに、再び飼い主のもとへ帰ってくる確率を高めるためにつける方が多いようです。

東日本大震災の後、ある自治体で保護された犬や猫のうち、迷子札や狂犬病の注射済票などをつけていたものは100%飼い主が判明しましたが、首輪のみのものはほとんど飼い主を特定することができず、マイクロチップの重要性が改めて見直されました。
特に猫は、犬の狂犬病予防法に基づく登録制度のようなものがないので、迷い猫の飼い主を特定するのは困難を極めたようです。

参考 環境省「東日本大震災におけるペットの被災概況」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2508c/01.pdf

国としても、動物の飼い主を明らかにすることで飼い主の意識向上を促し、安易に飼われ安易に棄てられる動物を減らしたいという思惑で、平成30年までにペットへのマイクロチップ装着を義務化しようという動きがあります。危険な動物(トラ、タカ、ワニ、等)や特定外来生物にはすでにマイクロチップの装着が義務付けられています。

また、海外から日本国内へ動物を入国させる際にもマイクロチップの装着が義務化されていて、証明書の提出が必要になります。ペットと一緒に海外旅行に出かける際には、出国前にマイクロチップを装着しておかないと連れて帰っても入国できない、ということになりますね。
日本から海外へ連れて行くときも、国によっては必要な国があります。

マイクロチップはどんなもの?

サイズは直径約2mm、長さ約12mmほど。生体適合ガラスで覆われた円筒形の形をしています。内部には世界でただ一つの個体識別番号が記録された「電子タグ」と呼ばれるIC部とアンテナが入っていて、注射をする要領で動物の体の中に埋め込みます。犬や猫の場合は首の後ろあたりに埋め込むことが多いようです。

また、装着は医療行為のため動物病院で獣医さんに行ってもらう必要があります。

埋め込まれたマイクロチップは、専用のリーダーを近づけると個体識別番号を読み取ることができます。マイクロチップ自体は電源不要でデータが消えたりすることもなく、一度動物の体内に埋め込めば一生交換する必要はありません。

費用は?

地域や病院によって差があるようですが、数千円から1万円前後というところが多いようです。装着費用の他にデータベースへの登録費用が1,000円かかります。

冒頭に書いたように、私が住んでいる自治体にはマイクロチップ装着費用の助成制度があり、その制度を利用すればデータベースへの登録費用1,000円だけで装着することができるよう。

助成を行っている自治体は他にも多いと思うので、お住いの自治体に問い合わせてみて下さい。

動物の体への負担は?

マイクロチップは安全性の高い生体適合ガラスで覆われているので動物への害はほとんどないとのこと。

日本獣医師会によると、日本国内で動物体内に埋め込んだマイクロチップの副作用やショック症状等についての報告は、今までに1件もなく(2017年8月現在)、海外においても腫瘍が認められたという症例が2件だけあるのみだそうです。

また、マイクロチップが電子機器であるということもあって、磁界による動物の体への負担が気になりますが、これも日本獣医師会によるとその影響は認められていないとのこと。
まれにMRIの画像に乱れが生じることがあるようですが、一般的な動物病院で使用されている多くのMRIであれば問題ないとのこと。レントゲンやCTなども問題なく撮影することができるそうです。

他には、埋め込みの際に暴れたり痛がったりする場合は麻酔でおとなしくさせて装着することもあるそうなので、リスクがあるとすればそのぐらいかと思います。痛さは普通の予防注射と同じくらいと言われていて、ほとんどの場合は麻酔なしでの装着が可能だということです。

参考 日本獣医師会
http://nichiju.lin.gr.jp/aigo/index02.html

マイクロチップに記録された個体識別番号をデータベースに登録しなければ意味がない。

マイクロチップには「個体識別番号」が記録されているだけなので、埋め込むだけではほとんど意味がありません。飼い主の氏名や住所、連絡先などとともにデータベースに登録する必要があります。

引っ越したり、飼い主が変わったりしたときには、そのデータベースへの登録内容の変更も忘れないようにしなければなりませんね。

AIPOとFAM

調べてみると、データベースは2種類あるようです。

でも注意しなければいけないのは、「AIPO(Animal ID Promotion Organization (動物ID普及推進会議)」のデータベースに登録されていなければ意味がないということ。

あれこれ検索していると、飼い主が動物病院へ連れていきマイクロチップを埋め込んでもらう場合は、必ずAIPOへ登録される流れになっていますが、それ以外の場合(ペットショップや前の飼い主さん等がすでにマイクロチップ装着を済ませていた場合など)は、「FAM( Family association of management)」という、もうひとつのデータベースへ登録されていることもあるようです。

FAMは設立されてまだ日が浅いためか専門家の間でもまだまだ認知度が低いうえ、ホームページを見ても管理運営している団体の詳細も書かれておらず、不安が残ります。

一方AIPOは、日本獣医師会や動物愛護団体が主体となって運営しているデータベースです。
ペットが迷子になった時、あるいは迷子ペットを保護した時、警察や保健所などが検索するのはAIPOのデータベース(一般の人は検索できず、獣医師など限られた人のみが検索可能)。FAMのデータベースに登録されていても見つかるはずもありません。

ご自身のペットがマイクロチップを埋め込み済みの場合、AIPOのデータベースに登録されているかどうかをぜひ動物病院で調べてもらって、未登録だった場合は、ぜひAIPOへも登録することをおすすめします。

埋め込んだマイクロチップで、保護されたペットは本当に帰ってくるのか?


ウチの犬が迷子犬になって保護施設等のお世話になったと考えた時、それらの施設は、必ずマイクロチップの確認をしてくれるのでしょうか?マイクロチップの存在に気付かれず数日間後に処分、なんてことになったら目も当てられません。

専用のリーダーはどこに設置されているのか?

多くの動物病院には設置されているようです。
全国の動物愛護センターや保健所などにも設置されているそうですが、すべての保健所等に設置されているのかどうか、現時点ではWeb上の情報が少なくてよくわかりません。

警察や交番には設置されているところは少なそうです。

保護施設では、動物を保護したときにマイクロチップを読み取る手順を必ず踏んでくれるのか?

これもまた、Web上の情報が少なくてよくわかりません。
保護された施設での飼い主を探す手順に「マイクロチップが埋め込まれているかどうかを確認する」という項目がなければ、痛いのを我慢させてマイクロチップを埋め込む意味はないですよね。

専用のリーダーは、どのマイクロチップでも読み取れるのか?

埋め込まれているマイクロチップとそれを読み取る専用リーダーのメーカーが違うと読み取れない、なんてことがあっても困りますよね。

せっかく保護されても、その施設にあるリーダーとマイクロチップが合わなくて読み取れなければ意味がありません。

調べてみると、日本で流通しているマイクロチップは国際規格ISO11784/11785に準拠したマイクロチップのみ。専用リーダーもISOの規格に準拠しており、「読み取れない」ということはないようです。

よかった。

で、結局・・・

結局、ウチの犬にマイクロチップを埋め込むのは、今は見送ることにしました。
理由は、かかりつけの動物病院の先生に相談してみたところ、先生があまり積極的に勧める感じではなかったこと(やめとけという感じでもなかったけど)と、上述したように本当にマイクロチップが有効なのかどうかが確信が持てなかったこと、の2点。

脱走歴はあるものの、脱走しにくい状況で飼っているし、脱走しても自分でちゃんと帰ってくるし、首輪には注射済み票や迷子札もつけているし、今は見送って、必要な時が来ればそのときにまた改めて考えることにしました。

でもこれからどんどん普及していくでしょうね。
マイクロチップが義務化される日も近いでしょうし、今見送ったことが凶と出るか吉と出るか。さてどうなるでしょうか。

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